JDLA G検定の勉強法

5月14日から16日までアフリカ・ルワンダの首都キガリで行われたTransform Africa Summit 2019に参加してきました。今年のテーマは「アフリカのデジタル経済を加速する」でした。アフリカでデジタル経済というと奇異に思われるかもしれませんが、実は現在アフリカの多くの国がICT(情報通信技術)で「国興し」を行っており、中でもルワンダはその先頭ランナーで、「アフリカのシンガポール」と言われるまでに発展しています。

Rwandan

ルワンダというと今から25年前のルワンダ虐殺を思い出すかもしれません。1994年のルワンダ虐殺は当時の人口700万人のうち、約100万人を殺すという大惨事でしたが、そこからわずか25年でルワンダは奇跡的な復興を遂げていて、現在人口は1200万人まで増え、アフリカで最も安全で綺麗な国になっています。実際、夜一人で出歩いても安全で、街にはごみ一つ落ちていません。

ルワンダの首都キガリはキガリ・イノベーション・シティとして、世界から多くのスタートアップ企業を受け入れて支援しています。先進国では多くの規制や既得権益などがあり、スタートアップ企業には大きな壁になりますが、それらの少ないアフリカの国でPOC(実証実験)を行い、ソフト、ハード、オペレーションを洗練させた上でワールドワイドにビジネスを展開するようなサイクルが推奨されています。日本政府もルワンダでのスタートアップ企業を支援しています。

ルワンダは教育も充実していて、18歳までの義務教育や英語での授業、さらに大学もたくさんあって、カーネギーメロン大学のアフリカ校も首都キガリにあり、最新のAI人材も輩出しています。人口の90%はモバイルマネーが使えて、小売店なども決済もキャッシュレスで行われています。また電子政府も進んでいて、役所への申請などもオンラインで行えて、しかもかなり早いそうです。
ICTで国興し、というのは理にかなっている気がします。情報通信やフィンテックでは一足飛びに最先端の技術を導入することが出来ますし、しかもアフリカの人口の60%は25歳以下の人たちなので、最新技術への適応も速く、アフリカが最新技術の「実験場」からあっと言う間に社会実装されて、日本を追い越していくかもしれません。

さて前回のAI EXPOのレポートで東大の松尾教授が日本のビジネスパーソンのAIの勉強が圧倒的に少ないと嘆いていたと書きましたが、また先日も日経ビジネスの「日本の社長にお手上げ」という記事で状況が改善されていないとさらに強い口調で嘆いています。忙しいビジネスパーソンにAIの勉強をしろ、と言ってもなかなか時間を取るのが難しいと思いますし、AIと言っても多岐に渡るので、まず現在のAIブームの状況を把握し、一通りの知識を得るには日本ディープラーニング協会が実施しているG検定を受けるのがいいと思います。G検定は「ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して事業応用する能力を持つ人材」を証明するもので、まさに現在求められている知識・能力です。さらにエンジニアの方には「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力を持つ人材」であることを証明するE資格を目指すのがいいと思います。私は両方の試験に合格しています。ここではG検定のための私なりの勉強法を紹介したいと思います。

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G検定ではそのテスト範囲をシラバスとして公開されています。

  • 人工知能(AI)とは(人工知能の定義)
  • 人工知能をめぐる動向
    •  探索・推論、知識表現、機械学習、深層学習
  • 人工知能分野の問題
    •  トイプロブレム、フレーム問題、弱いAI、強いAI、身体性
       シンボルグラウンディング問題、特徴量設計、チューリングテスト、シンギュラリティ
  • 機械学習の具体的手法
    •  代表的な手法、データの扱い、応用
  • ディープラーニングの概要例題
    •  ニューラルネットワークとディープラーニング、既存のニューラルネットワークにおける問題、ディープラーニングのアプローチ、CPU と GPU
    • ディープラーニングにおけるデータ量
  • ディープラーニングの手法
    • 活性化関数、学習率の最適化、更なるテクニック、CNN、RNN
    • 深層強化学習、深層生成モデル
  • ディープラーニングの研究分野
    • 画像認識、自然言語処理、音声処理、ロボティクス (強化学習)、マルチモーダル
  • ディープラーニングの応用に向けて
    • 産業への応用、法律、倫理、現行の議論

(日本ディープラーニング協会のサイトから引用)

G検定のテスト範囲は人工知能の歴史から、種類、課題、そして機械学習とディープラーニングの様々な方法とその学問的発展の経緯、さらに最新の研究分野や社会実装として様々な事例、そしてデータを収集・利用する際の法律的な問題など、非常に多岐に渡ります。

さて、これをどうやって勉強していくのがいいでしょうか。

 多くの方が本を読んで勉強する、と思うのではないでしょうか。確かに「本を読んで勉強する」という方法は古来確立された勉強法ですし、日本ディープラーニング協会が監修した「深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト) 公式テキスト」という本もあり、G検定を受けるには必要です。しかし、初学者がこの本「だけ」で勉強するのはかなり難しいのではないか、と思います。この本は網羅的にテスト範囲をカバーしていますが、あくまでテスト範囲の要約であって、試験前におさらいするには最適ですが、ここで新しい知識を学ぶのは難しく、丸暗記になってしまいます。もしこの本だけでG検定に合格したとしても、試験が終わった瞬間に覚えたことを忘れてしまいそうです。

 現代は本当に勉強のし易い時代です。「本を読んで勉強する」だけが勉強法ではありません。インターネット上にはたくさんのディープラーニングや機械学習の情報があり、オンライン講座でアメリカの有名大学の講座から、日本で作られた日本語の講座、さらに日々、全国各地でもくもく会や勉強会、セミナーが行われていて、これらを有効に組み合わせて勉強するのが効率的であり、また勉強だけではなく、人脈を広げるのにもいいと思います。

 まず公式テキストをざっと眺めて、勉強しなければいけない内容、キーワードだけを覚えて、他の方法で勉強してみましょう。私が最初にお勧めするのはUdemyの講座です。Udemyはオンラインのトレーニングコースで実に様々な分野の教材があり、日本語の講座も充実しています。ディープラーニング、機械学習、数学、Pythonのプログラミングなど現代AIを学ぶのに必要なものは一通り揃っています。ほとんど有料ですが、頻繁にバーゲンをしており、優れた教材が千数百円で手に入ります。私はこれまで30近い講座を受講しましたが、中でも初学者にお勧めなのは「【キカガク流】人工知能・機械学習 脱ブラックボックス講座 - 初級編 -」です。この講座は日本ディープラーニング協会の認定プログラムを実施している株式会社キカガク社長の吉崎さんの講座です。この講座では機械学習の基礎が学べると同時に、PythonのプログラミングやJupyter notebookの使い方などを学ぶことが出来、後々他の分野を勉強するのにも役立ちます。

 オンラインで勉強したら是非物理的な集まり、もくもく会や各種勉強会、輪読会、セミナーにも参加してみてください。これらはconnpassTECH PLAYで見つけられます。もくもく会は文字通り、各自もくもくと勉強する会ですが、一人で家で勉強していても、つい怠けてしまったり、つい仕事をしてしまう人も、同じ分野の勉強をする人たちが集まるもくもく会で一緒に同じ時間、拘束されて勉強することが出来ます。もくもく会に参加することで、どんな人がこの分野を勉強しようとしているのかが分かりますし、また多くのもくもく会にはエキスパートが参加しているので疑問を解決することが出来たり、また最後に自分がその日に勉強した成果を数分で発表するライトニングトークなどもあって、勉強だけではない成果も得られます。また勉強会、輪読会やセミナーは、大学院生など、実際にいま大学で勉強している学生が講師を務めていることが多く、最新の成果を知ることができるばかりでなく、彼らの多くは塾の講師のバイトなどをしていることが多く、概して教えるもの上手です。

もくもく会にしろ勉強会にしろ、多くがあまりきれいとは言えない雑居ビルの一室などで行われていて、このビルに入って大丈夫かな、と思うようなこともありますが、是非勇気を出して踏み込んでみてください。

 次回のG検定は7月6日です。イマドキな勉強法を駆使して、効率的に勉強しましょう!

GDEPアドバンス ExecutiveAdviser 林 憲一

林 憲一
1991年東京大学工学部計数工学科卒、同年富士通研究所入社し、超並列計算機AP1000の研究開発に従事。1998年にサン・マイクロシステムズに入社。米国本社にてエンタープライズサーバーSunFireの開発に携わる。その後マイクロソフトでのHPC製品マーケティングを経て、2010年にNVIDIA に入社。エンタープライズマーケティング本部長としてGPU コンピューティング、ディープラーニング、プロフェッショナルグラフィックスのマーケティングに従事し、GTC Japanを参加者300人のイベントから5,000人の一大イベントに押し上げる。2019年1月退職。同年3月GDEPアドバンスExecutive Adviserに就任。日本ディープラーニング協会のG検定及びE資格取得。

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