KEN’S REPORT「デジタル変態」

2021.05.18 KEN'S REPORT

東京では緊急事態宣言が延長されましたが、みなさんお元気にお過ごしでしょうか?緊急事態宣言の延長で日本の重要な食文化の担い手である多くの飲食店が閉店に追い込まれるかと思うと大変残念です。特にラーメン屋の閉店が多いと聞きますが、みなさんの贔屓の店はどうでしょうか?ラーメン屋の閉店というとNVIDIAのCEOのJensenのこの話しを思い出します。Jensenはかなり芝居がかって話しをすることも多いのですが、この時もそうでした。

土曜日の昼、一週間仕事を頑張った自分へのご褒美に一番好きなラーメンを食べに行く。こんなにうれしいことはない。車を運転して30分、店が近づくとわくわくしてくる。しかし、変だ。いつも出来ている行列がない。まさか。。車を止め、店に行くとそこには「閉店」の張り紙があった。なんと店は潰れていた。大好きなラーメン屋がなくなるなんて、こんな辛くて、悔しいことはない。何で潰れたのか。値段が安過ぎたからだ。あんなにおいしく、そして作るのに手間がかかるものを10ドルや20ドルで売るのがおかしいのだ。競争が厳しいからと言って採算を度外視して値付けをしたせいだ。

今NVIDIAは世界で唯一のラーメン屋だ。もしNVIDIAが潰れたら世界中のAIユーザーが途方に暮れることになる。だからNVIDIAは適正な利潤を取ってビジネスを継続する責任がある。NVIDIAは値引きもせず傲慢だという客もいるが、それは間違いだ。適正な利潤を取ってビジネスを継続し、次世代技術に投資をして、さらにいいものを提供するのが我々の責務だ。値引きをして一時的に客を喜ばせても駄目なのだ(だからおまえら、一文も値引きをせず売ってこい)、と。

さて日本ディープラーニング協会が2021年5月6日にAI For Everyone(すべての人のためのAIリテラシー講座)を開講しました。この講座は「グーグルの猫」で有名なAndrew Ng先生がCourseraで開設し、世界で約65万人が受講したAI For Everyoneを日本語化して、前後に日本ディープラーニング協会理事長の松尾豊東京大学教授が日本人向けの講座を追加したものです。このコースを受講するとDXの中核技術となったディープラーニングについて、技術やビジネスの真髄を数時間で学べます。しかも無料です(ただし、章末の確認テストの採点を受けたり、修了証をもらうためには49ドル支払う必要があります。49ドル支払い、修了証を受けるとLinkedInの資格のところに載せられたり、G検定の受験料が三割引きになったりします)。私もさっそく受講しましたが、日米のAI教育の頂点に立つ2人の講義は分かりやすく、G検定は勉強量が多過ぎて断念していた人にも無理なく学べるものだと思いました。修了証には2人のサインもあり、とても贅沢です。

先日DXについて調べていたらある人がデジタルトランスフォーメーションのトランスフォーメーションとは形を変えることを意味するので、「変革」や「改革」ではなく、「変態」だ、と言っていました。「変態」とは変質者の意味ではなく、生物が形を変えること、おたまじゃくしがカエルになったり、さなぎが蝶になったりするような「変態」です。DXは単なる効率化やコスト削減ではなく、ビジネスモデルを見直して会社の姿が大きく変わることだというのです。なのでDXの導入は経営トップにしか出来ないし、ある会社にDXが導入されるということは社員全員が関係者になることなのです。私は担当者じゃないから、とか、私の部署はDX使ってないからなど、関係者ではない人がいるということは本当のDXではない、ということになります。日本では総理大臣がDXをやると言っているので、すなわち日本国民全員がDX関係者ということになります。以前NVIDIAのCEOのJensenがディープラーニングの重要性を社員がまだ充分理解せず、他人事のように感じていた頃、「社員全員でディープラーニングをやるのだ。全員が関係者だ。全員だ」と執拗に繰り返していたと2021年2月のレポートに書きましたが、これと同じことだったのでしょう。菅総理、平井大臣にも全国民がDXを理解するまで言い続けて欲しいです。AI For Everyone(すべての人のためのAIリテラシー講座)は日本国民の必須科目です。全員で理解して、日本のDXを進めましょう!全員です!関係ない人は日本にいません!

PS
2021年5月28日(金)午後4時からACRi( アダプティブコンピューティング研究推進体 )設立一周年記念のイベント「第1回ACRi討論会:ポストムーア時代の未来予想」に登壇します。ムーアの法則が終わろうとしている今、未来のコンピューティングがどうなるのか、という討論会で私の考えを述べたいと思っています。ACRiはFPGAの活用方法を模索・研究する団体で、ジーデップ・アドバンスも参加しています。またジーデップ・アドバンスはXilinx認定のVARですので、Xilinx社のFPGAボード Alveoの御用命もお待ちしています。

株式会社ジーデップ・アドバンス ExecutiveAdviser 林 憲一

林憲一
1991年東京大学工学部計数工学科卒、同年富士通研究所入社し、超並列計算機AP1000の研究開発に従事。1998年にサン・マイクロシステムズに入社。米国本社にてエンタープライズサーバーSunFireの開発に携わる。その後マイクロソフトでのHPC製品マーケティングを経て、2010年にNVIDIA に入社。エンタープライズマーケティング本部長としてGPU コンピューティング、ディープラーニング、プロフェッショナルグラフィックスのマーケティングに従事し、GTC Japanを参加者300人のイベントから5,000人の一大イベントに押し上げる。2019年1月退職。同年3月 株式会社ジーデップ・アドバンス Executive Adviser に就任。
日本ディープラーニング協会のG検定及びE資格取得。2020年12月より信州大学社会基盤研究所特任教授。

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