AIプロジェクトの進め方

2019.11.11 KEN'S REPORT

10月9日から11日に東京ビッグサイトで日経xTECH EXPO 2019が行われ、AIやセキュリティ、FinTech、建設など様々な分野の展示やセミナーがありました。GDEPもこのイベントに参加し、NVIDIA DGXシステムの展示を行いました。

GDEPのブース
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10日には日経クロストレンドと日経xTECHが共同で実施した「ディープラーニングビジネス活用アワード」の表彰式が行われ、大賞はキユーピーの「AI食品原料検査装置」というプロジェクトに輝きました。このプロジェクトはベビーフードの加工の際の原料の検査にディープラーニングを導入したもので、その技術は競合他社にも販売するそうです。 

アワードの発表に先立ち、ディープラーニング協会理事長の松尾豊東京大学教授の基調講演がありました。松尾先生は最近のディープラーニングの状況を紹介した後、企業でAIプロジェクトを進める方法について説明しました。これはアメリカのAndrew Ng氏が提唱している「AI Transform Playbook」によるもので、以下の5つのステップに沿って進めるべき、としています。

AI_Transfomation_playbook

    1. パイロットプロジェクトを実行し、勢いをつける
    2. インハウスのAIチームを作る
    3. AIのトレーニングを提供する
    4. AI戦略を作る
    5. 内部・外部のコミュニケーションを作る
  1. パイロットプロジェクトを実行し、勢いをつける
    まず最初は小さな成功を経験することが大事で、外部の専門家の協力も得てパイロットプロジェクトを行い、車輪を回し始める。
  1. インハウスのAIチームを作る
    外部パートナーの助けも重要だが、AIの時代を生き抜くには社内にAIチームを作っていくことが大事で、CTO、CIOレベルのエグゼクティブスポンサーを得たチームを部署横断で作る。
  1. AIのトレーニングを提供する
    AIは仕事の形を変えるので、AI時代に必要な知識を全員が持つ必要がある。エンジニアだけではなく、社長など経営陣、部門のリーダーなどもそれぞれの立場で必要なトレーニングを受ける。
  1. AI戦略を作る
    経営者はAI戦略を作ることを最初のステップだと考えがちだが、1から3のステップを経て、基本的な理解を得るまでは、思慮深いAIの戦略を作ることはできない。
  1. 内部・外部のコミュニケーションを作る
    自社のAIがどのような価値を生むか、社内外と十分なコミュニケーションを取って進めていく。特にAIが仕事を奪う、と身構えている従業員に十分な説明機会を持つ。

松尾先生は日本ではアメリカや中国に比べて、特に大企業ではトップの理解レベルが低いのが問題だと指摘しました。また日本ではAI以前にそもそもIT化が遅れているが、そのためにAIスタートアップ企業が育つ余地があり、一長一短である、という指摘もありました。
しかしながら、海外は全く別のゲームが進行中であるとし、ソフトバンクの社外取締役の立場からWeWorkの例などを挙げました。ディープラーニングがビジネスにもたらす大きな変化は、デジタル化されておらずリアルなデータが取れなかった分野でデータを取ることが可能になったことだとして、不動産、車、食、人事、建設、農業、医療、保険のような「デジタル化されておらず非効率で巨大な業界」に大きなインパクトをもたらすとしました。特に不動産は人類の資産として最大なものであるにも関わらず、数十年に一度登記簿が移る程度で、ビルの中がどのように使われているか、などのデータも全く取られておらず、分析もされていない状況です。これはデータを取る手段がないからですが、シェアオフィスはそれが可能であり、それが故にシェアオフィスのWeWorkを足掛かりにビジョンファンドは不動産のAI化を目論んで大きな投資をしているのだ、としました。

世界は巨大で非効率な産業をAIで大きく変化させようと大きな賭けに出ているのに対し、日本企業は既存事業を変えないまま、人の作業の置き換えなど小さなところにディープラーニングの活用を目指している、として、松尾先生は日本の行く末に少々諦念を抱いている様子でした。

さて10月23日(水)にGDEPアドバンスとエヌビディアの共催で「ディープラーニングの今とこれから」と題したセミナーを行いました。このセミナーでは私も「AI時代の人材育成」と題して講演しましたが、このセミナーのハイライトは近々サービス開始を予定している「GDEP DGXクラウド」でした。


NVIDIA Tesla V100を16基をNVSwitchで全結合し、驚異の2PFLOPSを叩き出すNVIDIA DGX-2はディープラーニング研究者の憧れで、「GDEP DGX クラウド」ではそのDGX-2がクラウド上で月単位で利用することが出来ます。DGX-2は16基のTesla V100からなる分散共有メモリ型のスパコンです。従来分散共有メモリのスパコンではメモリの配置や通信レイテンシを考慮したプログラミングを行わないと性能を引き出すことが難しかったですが、DGX-2では合計512GBのGPUメモリはNVSwitchで接続されることで連続なメモリ空間として利用可能で、通信レイテンシもNVIDIAの通信ライブラリが隠蔽することで、「超絶技巧」がなくても、あたかもオートマのF1のように簡単に扱うことが出来ます。
是非「GDEP DGXクラウド」で憧れのDGX-2を使ってみてください。

GDEPアドバンス ExecutiveAdviser 林 憲一

 
林 憲一
1991年東京大学工学部計数工学科卒、同年富士通研究所入社し、超並列計算機AP1000の研究開発に従事。1998年にサン・マイクロシステムズに入社。米国本社にてエンタープライズサーバーSunFireの開発に携わる。その後マイクロソフトでのHPC製品マーケティングを経て、2010年にNVIDIA に入社。エンタープライズマーケティング本部長としてGPU コンピューティング、ディープラーニング、プロフェッショナルグラフィックスのマーケティングに従事し、GTC Japanを参加者300人のイベントから5,000人の一大イベントに押し上げる。2019年1月退職。同年3月GDEPアドバンス Executive Adviser に就任。日本ディープラーニング協会のG検定及びE資格取得。同協会 Marketing Director も務める。

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