ユーザー事例 開発法人海洋研究開発機構様

2021.07.14 リポート

近年はAIや画像認識などを用いた地球規模の流体現象の検出や予測手法を研究が進んでいます。
重要なポイントになるAI研究にNVIDIA AmpereアーキテクチャのGPU「NVIDIA RTX A6000」と水冷の第二世代AMD EPYCプロセッサを搭載したDeeplearningモデルが導入されています。最新の事例を是非ご覧ください。

世界レベルで深刻な問題となっている海洋ゴミの研究に挑む

神奈川県横須賀市に本部を置く国立研究 開発法人海洋研究開発機構(Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology : JAMSTEC)は、人工知能(AI)の研究開発を一手に引き受けており、付加価値情報創生部門にある組織の1つ「情報 エンジニアリングプログラム(IEP)」でもある。
「新たな科学技術で海洋立国日本の実現を支え、国民、人間社会、そして地球の持続的発展・維持に貢献する」ことを使命に長期ビジョンにおける課題として設定し、さまざまな研究開発に取り組んでいる。

GPUを利用したAIの学習と画像解析

「JAMSTECには情報系の研究者や技術者が少なかったことから、以前はAIの研究があまり進んでいませんでした。そこで私は、さまざまな分野の人を集めてAIの勉強会を立ち上げたほか、AIの研究開発に携わってきました。(副主任研究員・松岡氏)」

同部門・日髙氏は、学生時代は深海性のクラゲ類をメインとする生物分類学の研究に没頭してきたが、その研究の中でAIを活用した画像解析の重要性に着目。「生物×AI」に大きな可能性を感じたことから、JAMSTECでAIの研究開発を手掛けるようになった経緯がある。
 「クラゲなどの脆弱な深海生物の生態は、基本的に深海探査機などで撮影された動画や静止画からでしか情報が得られません。そのため、これまではその動画や静止画を目視で確認し、地道に情報の種を見つけるしか方法がありませんでした。私自身、この作業には本当に苦労してきただけに『どうにかして自動化できないか』と痛感し、AIの技術を身につけたいと思ったわけです。(同部門・日高氏)」

最新アーキテクチャの高性能GPUを搭載する「DeepLearning BOX/Alpha」の導入

重要なポイントになるAI研究に、NVIDIA AmpereアーキテクチャのGPU「NVIDIA RTX A6000」と水冷の第二世代AMD EPYCプロセッサを搭載したDeeplearningモデルが導入された。GPUは複数枚の搭載が可能で、メモリは8チャンネルまで対応する。また、ストレージはNVMeを標準搭載するほか、ECC RegisterdメモリやIPMIも標準採用するマシーン。

GPUの優れた性能に確かな手ごたえ

現在の研究内容として取り組んでいるのは、AIによる画像処理技術を利用した「海洋ゴミの自動検出」である。

「ディープラーニングの応用に長けた技術者である同僚の杉山大祐氏の尽力のおかげで、現状での正解率は約8割とかなり高い精度まで上がってきており、領域の推定もかなり細かい部分まで検出できるようになってきました。なお、今回の研究で使用した写真データは約3500枚。約2800枚をAIの学習(ディープラーニング)に利用し、残り約700枚で画像解析のテストを実施しました。(日髙氏)」
このAIの学習や画像解析において、必要不可欠となるのがGPUである。松岡氏はディープラーニングや画像解析の研究において「GPUは切っても切れない存在」と考えており、2010年頃からCG・可視化研究にGPUを利用してきたほか、2015年頃からはディープラーニングにもGPUを利用してきた。
そして2021年2月に最新のNVIDIA Ampereアーキテクチャを採用したGPU「NVIDIA RTX A6000」を搭載するEPYC搭載ディープラーニングマシン「DeepLearning BOX/Alpha」を、専用マシンとして導入した。

AIの画像解析をアプリ化して海洋ゴミ問題を知るきっかけに

将来的には「スマートフォンなどでの利用を可能にしたい」と考えており、例えば海岸を訪れた住民や観光客がスマホで海岸の写真を撮ると、その場ですぐに「その海岸の綺麗さ(=汚れ具合)がわかる。(日髙氏)」というAIによる画像解析技術の「アプリ化」を想定している。
アプリは一般的に普及が望めるため、多くの人に海洋ゴミの現状を知ってもらうきっかけとなる。さらに、このシステムは膨大な画像データの蓄積にも貢献できることから、「継続的なAI開発やモニタリングにも役立てたい」と構想する。

DeepLearning BOX/Alphaは、学生向けのAI学習に活用したい

海洋研究開発機構は「NVIDIA Jetson」のような組込みAIエッジシステムにも注目しており、監視カメラと組み合わせた現場観察ツールとしての利用や、学生向けのAI学習ツールとしての活用などにも期待している。海洋ゴミの研究にとどまらず、多彩な取り組みに携わっていくことで「AIのすそ野を広げるとともに、若い人材の育成などにつなげたていきたい」(日髙氏)という思いだ。

※ユーザー事例一覧はこちらから


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