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株式会社ジーデップ・アドバンス

NVIDIA エリートパートナー

ディープラーニング技術が迅速な医師の読影を支える

Infervision.Japan様

ディープラーニングによる画像分析技術を医療に活用し、世界中の医師をサポートするInfervision。AI診断支援ソフトウェアが、コロナ禍にある日本の医師を強力に支援する。

ユーザプロフィール
組織名: 株式会社Infervision.Japan 
業界: ソフトウェア開発/ NVIDIA Inceptionパートナー
本社所在地: 〒102-0074
東京都千代田区九段南3-4-5 番町ビル601号

 2015年に中国の深圳で創業し、現在は北京市に拠点を置くスタートアップのInfervisionは、医療系データを用いてAI分析を行う医用画像AIエンジン開発会社。2017年には、日本支社であるInfervision.Japanが設立された。
 Infervisionは、ディープラーニングを医療画像の分析に活用し、放射線診断専門医の診断をサポートするプログラムを多数開発。CT画像によるがん検知、肺や脳の異常検出、レントゲン画像での骨折検査、あるいはマンモグラフィーなどの分野で、すでにAIによる診断支援プログラムが開発されており、世界各国の病院に導入されている。

 

 

 

 

Infervision.Japan 取締役副社長 郭

 日本においては、例えば近畿大学病院など、いくつかの病院とともに肺がんの実証実験などを進めている。日本放射線技術学会で発表した論文では「120ケースのCT画像を経験の少ない若手医師が読影した際に、AIによるサポートの“あり”と“なし”で発見率を比較したところ、“あり”の発見率は“なし”の2倍になりました。また、10年以上の経験を持つ熟練医師の発見率と比較しても、AIのサポートを受けた若手医師の方が発見率は優れていました。さらに、AIのサポートを受けた方が、読影時間が短くなるというのもポイントです」と、Infervision.Japanで取締役副社長を務める郭暁曦氏は説明する。

 

 

 

COVID-19にも対応済みで日本の医療機器承認も取得

 

AI診断支援ソフトウェアの画像イメージ

 昨今の状況を踏まえて、同社は独自の画像解析プログラムエンジンを活用し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連したAIによる肺画像解析プログラムを展開。しかも、このプログラムは日本で「COVID-19 肺炎画像解析AIプログラムInferRead CT Pneumonia」として、新型コロナウイルス感染症又は関係する症状を対象とした医療機器の承認(PMDA)を、2020年6月3日に取得している。
 「COVID-19対応のAI診断支援プログラムは、意図して開発したわけではなく、じつは偶然の産物でした。そもそも、弊社は2016年から中国・武漢市のある有名病院と協力関係にあり、肺炎の画像解析AIプログラムを使ってもらいながら多くのフィードバックを受けていました。そんななか、2019年12月にその病院の医師から『少し変な肺炎の患者が増えているので、その患者に対応できるようにソフトウェアを調整してもらえないか』という依頼を受けました。当然、当時は誰もその肺炎がCOVID-19だとは知らなかったわけですが、弊社は『データをいただければ調整します』と答えて対応することになりました。そして2020年1月、中国の状況は非常に厳しいものになりました。世間的には春節で休日でしたが、弊社は国の開発チームと共同で武漢市の病院をサポート。さらに、COVID-19対応の新ソフトウェアを急ピッチで開発し、2020年1月31日に完了させたわけです」(郭氏)。
 COVID-19対応のAI診断支援ソフトウェアは、COVID-19の「確定」と「疑い」の症例をAIに学習させて開発したプログラムを使用。胸部のCT画像を入力するとAIがその画像を分析し、COVID-19の可能性を 「高/中/低の3レベル、または0%」で提示する。また、肺の結節影(CT画像で白っぽく見える丸い影)の占める割合を数値化したり、撮影時期の違うCT画像を並べて比較したりする機能なども備えている。

 

小型かつ安定性に優れAI処理の性能も問題なし 

 

 COVID-19対応モデルも含めたAI診断支援プログラムを病院に導入するにあたって、ポイントの1つとなるのが「検査画像の取り扱い」である。例えば、日本は医療画像のマーケティングシェアが非常に大きな国で、郭氏によれば「CTスキャナの数は世界一の保有国で、その数はヨーロッパ全体の合計数と同等」とのこと。当然、CT画像の数が多く質も高いことから、Infervisionとしても支社を設立するほど重要な市場に位置づけられている。ただし、個人情報保護の観点などからCT画像を病院外の外部ネットワークに出すことがかなり難しい状況にあるため、AI診断支援プログラムをSaaSなどのクラウド形式で提供することは非常に厳しい。また世界的な事情を見ても、各病院が導入するCTスキャナはメーカーや仕様がそれぞれ異なることから、得られるCT画像も微妙に違ってくる。そのため、単純にAI診断支援プログラムを導入しても、結局は病院ごとの細かなチューニングが必要となるわけだ。
 このような背景から、Infervision.Japanは日本でAI診断支援ソフトウェアを提供するにあたり、オンプレミスで利用する専用サーバーとセットで提供する方式を採用。その専用サーバーとして、GPUアクセラレーター「NVIDIA T4 Tensorコア GPU」を搭載する推論用エッジデバイス「Inference BOX」が選ばれた。
 「サーバーの選定にあたっては、さまざまな企業のデバイスを取り寄せて比較・検討しました。その結果、GDEPアドバンスのInference BOXが、安定性においてもっとも優れていました。コンパクトなサイズ感も魅力的で、病院への導入には最適のデバイスといえるでしょう」(郭氏)。
 もちろん、AIによる画像処理の性能にも問題はない。例えば、肺のCT画像は断面の厚さが5mmの場合は約60枚になるが、分析にかかる時間は1分未満で「試験でもっとも早かったケースでは10秒で完了した」(郭氏)。また、通常の肺がんや肺血栓塞栓症の場合は厚さ1mmを推奨しており、その場合はCT画像の総数が約300枚にもなるが、これも「約3分で完了する」という。
そして、分析後は病気の疑いがあるCT画像にマーキングがされるため、医師は1枚1枚CT画像を見ていくよりも、圧倒的に早くより効率的に判断することが可能になるわけだ。さらに郭氏によれば、結節影の範囲などを数値化できる機能などは、学術研究などにも役立つとのこと。例えば「医師が論文を書く際には、必ず明確な数値が必要になります。弊社のソフトウェアは、分析で得られた数値のエクスポートにも対応します」と解説する。 

 

病院のさまざまな要求に対して万全の準備で応えていく

 

 世界中の医師をサポートし、多くの患者を救うためにさらなる進化を続けるInfervision。使い勝手をさらに向上させるための開発は、日々続いている。「実際の運用にあたって、医師の読影時 間を仮に15分とした場合、AIの分析とデータのアップロード/ダウンロードで10分以上かかるようでは、医師が使ってくれない可能性が高くなります。実際、ある病院の救急診療室への導入に際しては、テスト段階ながらも『30秒以内に結果を見たい』という要求がありました。つまり、それ以上では“時間がかかり過ぎる”といわけです」(郭氏)。
 郭氏いわく、この30秒という要求は「実現可能な範囲」とのこと。ただし、そのためには「病院内のネットワークをはじめとして、さまざまな環境に合わせた準備が必要になります」と補足する。このような病院からの多彩な要求に対応するためも、NVIDIAに対しては将来的に「医療専用のAIサーバー」の登場を熱望。NVIDIAやGDEPとともに、今後も世界中の病院や医師を支えていく考えだ。 

 


 

 

Infervision.Japanの使用モデル

Inference BOX

NVIDIA社の「NGC-Ready」システムに認定された推論用エッジデバイス。小型サイズの筐体ながら、画期的な性能を備えるGPUアクセラレーター「NVIDIA T4 TensorコアGPU」を搭載する。さらに、最大12ポートのLAN、10ポートのPoE LAN、10ポートのCOM、16ポートのDIOを選択・接続できるなど、豊富なIOポートと拡張性も魅力となる。

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