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株式会社ジーデップ・アドバンス

NVIDIA エリートパートナー

AI技術とNVIDIA DGX H100が経理部門の課題解決を実現する

ファーストアカウンティング様

経理特化型のAIを開発し、経理部門の業務改革をサポートするファーストアカウンティング。 驚異的な処理性能を持つ「NVIDIA DGX H100」がAIの研究開発や学習、品質の向上を後押しする。

ファーストアカウンティング
共同創業者 社長室 室長 松田顕氏

 昨今、少子高齢化による「労働人口の減少」は大きな社会課題となっているが、これは技術者などの専門職に限った話ではなく、経理部門も例外ではない。また最近では、経済的・資産的な観点から「企業価値の向上」に取り組む企業も増えているが、その対応に適した経理部門は人手不足により、そのための時間をなかなか割けない状況にある。
 このような背景にあって、「制約を取り払うことで、自信と勇気を与える」をパーパスに掲げるファーストアカウンティングは、AIの力を活用して経理業務の効率化と自動化を実現する法人向けサービスを展開中。業務上のさまざまな制約を取り払い、より価値のある業務にフォーカスすることをサポートしている。
 同社の共同創業者で現在は社長室 室長を務める松田顕氏によれば、ファーストアカウンティングは2016年6月の創業当初から「経理部門が抱える課題にフォーカスしてきた」と振り返る。そもそも、企業はこれまで領収書や請求書、経費精算書といった紙ベースの帳票を、手間と時間をかけて人力で処理してきた。同社 代表取締役社長の森啓太郎氏も創業前には数年ほどECサイトを展開していたが、この帳票処理にかかる手間と時間に「頭を悩ませていた」そうだ。
 このような状況にあって森氏は、ちょうど その頃に大きな進化を遂げつつあった「AI」や「ディープラーニング」などの技術に着目。これらの技術を活用すれば「日常の会計業務を自動化し、手間のかからない会計(=速い会計:fast+accounting)を実現できる」と考え、松田氏やもう1人の共同創業者であるFA Research Research Directorの藤武将人氏とともに3人でファーストアカウンティングを創業した。 

 

自社で学習を続けてきたからAIの品質には「自信がある」

 

 ファーストアカウンティングが現在提供するメインの製品には、経理業務効率化を目的としたAIエンジン「Robota」と、Webブラウザで完結するクラウド型の会計ソリューション「Remota」の2つがある。
 Robotaは、請求書や領収書のAI-OCRによる読み取り、振分・台紙切取などの前処理、仕訳や確認など、経理業務のためのさまざまなAIエンジンを用意。APIで提供されるため、「大企業に対しては、既存システムに入れ込む形で提供。また中小企業に対しては、他社の会計ソフトにOEMとして入れ込んでもらい、クラウド経由で利用してもらっています」(松田氏)。
 Remotaは、経理業務の中でも「請求書の処理」に特化したクラウドサービスとなる。請求書のPDFが添付されているメールをRemotaのアドレスに転送するだけで、請求書に記載されている日付・金額・仕入先などの情報をOCRで自動的に読み取り、AIによる検算や勘定科目の特定などを行う。これにより、ERPやワークフローとの連携が可能になる。
 

ファーストアカウンティング 共同創業者
FA Research Research Director 藤武将人氏

これらで利用されているAIについて、藤武氏は「AIの学習などの地道な取り組みを 常に自社で続けてきた」ことから、その品質には「自信がある」と胸を張る。さらに、企業ごとのカスタマイズにも柔軟に対応できる仕組みを入れ込むなど、「顧客企業の希望に適合できるような仕組みづくりにも力を入れている」という。
 そのほか、ファーストアカウンティングは近年、デジタルインボイスの領域でも事業を展開中。日本政府がデジタルインボイスの標準仕様として国際規格の「Peppol(ペポル)」を採用したことから、ファーストアカウンティングは2022年8月に、日本におけるPeppolのサービスプロバイダーとしてデジタル庁から正式に認定を受けた。現在は、Peppolアクセスポイントを介したデジタルインボイスの送受信を実現するサービスの提供・開発を進めており、ベンダー数では「すでに半数以上のシェアを獲得している」と松田氏は補足した。 

 

そのときの“最高”でなければAIの戦いには勝てない!

 

 創業時からAIの研究開発や学習などを担ってきた藤武氏によれば、当初はAWSやGoogle Cloud(GCP)が提供するクラウド型のGPUサービスを利用していたとのこと。最初はまだAIのモデルが小さかったため、それでも「特段の問題はなかった」そうだ。しかし、徐々にデータ量が増えてモデルが大きくなるとともに、精度向上を求めて学習時間も長くなっていくにつれて、AWSやGCPでは「コスト面が大きな課題となった」という。
 そこでファーストアカウンティングは、2020年にクラウドサービスの利用をやめ、ローカルのGPU機材を導入してAI開発などを行うやり方へ移行。コスト面を配慮しつつも「より良いサービスを提供するためには より高性能なGPUが必要」と考え、NVIDIA A100 GPUを搭載する「NVIDIA DGX Station A100」などを導入してきた。しかし、NVIDIA
DGX Station A100でも現状のLLM(大規模言語モデル)の学習にはかなりの時間がかかってしまうほか、最新のAI研究にも十分とはいえなかったことから、2024年初頭に「NVIDIA DGX H100」×2基+InfiniBandを導入した。
 「NVIDIA DGX H100の導入が、大きな投資であったことは間違いありません。しかし、例えば半額で別のGPU機材を購入できたとしても、学習時間がNVIDIA DGXH100よりも倍以上かかるようでは、それを購入する意味がありません。そういったコスト当たりの学習量を考慮した結果、NVIDIA DGX H100が“コスト効率で最も優れている”と判断して導入したわけです」(松田氏)
 実際、NVIDIA DGX H100は優れたパフォーマンスを発揮しており、NVIDIA DGX Station A100と比較して「体感で5~6倍は違う」と藤武氏は語る。例えば、NVIDIA DGX Station A100では3~4週間もかかるAI解析が、NVIDIA DGX H100であれば3~4日で終わるとのこと。また、AIの学習ではエラーが起きると“ゼロからのやり直し”となるだけに、数日で終わるという状況は「心理的な安心感にもつながります」と笑みを浮かべる。
 そもそも、1ヵ月かかるような処理で終盤にエラーを起こしてしまうと、現実問題としてビジネス面で影響が出てしまうケースも普通にあり得る。NVIDIA DGX H100であればそれを防げるうえに、試行回数も増えるというのは大きなメリットだ。
 そういった点も考慮すると、「今回の投資は決して安くはなかったが、AIに対しては当然やらなければいけないことだった」と松田氏は振り返る。さらに、AIの驚異的な進化スピードも踏まえると「そのときの“最高”を持っていなければ、AIの戦いには勝てない。悠長にやっていたら置いていかれてしまい、存在価値はなくなってしまう」と危機感を示した。 

 

GDEPの誠実な姿勢や実績、ノウハウも高く評価

 

 NVIDIA DGX H100の性能に加え、今回の導入でファーストアカウンティングが大きなメリットとして感じたのは、導入をサポートした「ジーデップ・アドバンス」(以下、GDEP)の存在である。
 例えば、松田氏はGDEPの「誠実な姿勢」を高く評価。導入時にトラブルがまったくなかったわけではないが、解決に向けたやり取りはとても誠実で「まったく不安に感じなかった」だけでなく、「“最終的にはきちんと納入してくれる”という確信にも似た安心感があった」と付け加えた。また、導入にあたって相見積を取った際においても、他社は電話すらなくメールだけで終わったが「GDEPさんはすぐに会いに来てくれました。安い買い物ではないだけに、そういった対応にも信頼感がありました」(松田氏)。
 一方で藤武氏は、NVIDIAの製品を長く扱ってきたGDEPの「実績」やこれまで培ってきた「ノウハウ」などを評価。データセンターへのNVIDIA DGX H100の納入に際してはさまざまな不安があったことから、「事前の下見に同行してくれたときは本当に助かりました」と振り返る。実際、データセンターへの納入はひと筋縄ではいかなかったそうで、実寸を計測したり搬入経路を確認したりするなど、製品知識や導入のノウハウを最大限に活かしてGDEPがサポートしたことで、大きな問題もなく無事納入できたとのことだった。
 今後のビジョンとしては、現状と同様に「AI」や「経理」を核としつつも、事業領域の拡大やグローバル展開などを進めていく考えだ。
 「効率化できる領域はまだまだありますし、経理の課題は国内だけでなく海外でも同様にあります。また、より良いサービスを提供し続けるためには、会社の規模もさらに大きくしていく必要があるでしょう。その意味では、NVIDIA DGX H100のようなハードウェアはいくらあっても足りない状況です(笑)。技術面も含めて、GDEPさんには今後もさまざまなサポートをお願いしたいと思っています」(松田氏) 

 


 

ファーストアカウンティングの使用モデル

NVIDIA DGX H100

世界で初めて「NVIDIA H100 Tensor コアGPU」を採用したAI対応の第4世代DGXシステム。8基のNVIDIA H100 GPUを搭載し、7.2TB/Secという前世代より1.5倍も広帯域になったNLSwitchx4で接続する。これにより、「最大32PetaFLOPS」という圧巻の演算性能を実現する。

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